第37章 彼女の誤解だった

野口颯汰の胸が、ぎゅっと締めつけられた。

もし、本当にそうだったら……。

考えるより先に、手に抱えていたケーキの箱を一式、野口凛の腕の中へ押しつける。

「持ってろ」

「えっ? お兄ちゃん、どこ行くの!」

顔が隠れそうなほど箱を抱えた凛の声を背に、いつもは泰然としている兄が、今だけは落ち着きなんてどこにもないまま、まるでガキみたいに車の流れへ飛び込んでいった。

「南坂海乃!」

……

南坂海乃は、タクシーのドアを開けていた。

乗り込もうとした、その瞬間。

すらりと伸びた力強い手が伸びてきて、バンッとドアを押さえ込む。

「すみません、運転手さん。この車、やっぱり乗りません」

...

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